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東京高等裁判所 昭和24年(新を)218号 判決

被告人

石橋義郞

主文

本件控訴はこれを棄却する。

理由

前略

弁護人の論旨は、要するに被告人は本件窃盜をするにつき原審相被告人江沢正治と共謀はしたが、窃盜の実行行爲について何等の加担をもしておらないのに原判決が窃盜の共同正犯であると認定したのは事実を誤認し法律の解釈を誤り且つ理由不備の違法があるというのである、しかし数人共同して犯罪の実行を謀議した上共謀者の一人がその実行を爲すに於てはその実行を分担せず且つ何等自己の爲に利得する意思を有せざる共謀者も亦共同正犯の責を免かれないことは既に判例の認める所である(大審院昭和十年(れ)第五四八号事件判決参照)。而して被告人は原審相被告人江沢と本件窃盜を犯すことを謀議したが醉つておるので現場附近で江沢の犯行の終るを待ち受け相共同して盜品を搬出し去りたるものであるからこれを共同正犯と認めた原判決には所論のような違法はない。所論は理由ないものである。

以下省略

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